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「フラワー・オブ・ライフ」 レビュー

1年D組よ 永遠に ~フラワー・オブ・ライフ~ 

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私はフラワー・オブ・ライフの表紙や扉絵が好きだ。
4巻を読了した後でも、表紙や扉絵を見つめているだけで、なにやら胸の奥に何かがこみあげてきて、なんとも切なく甘酸っぱい気持ちになってくる。4巻の表紙の春太郎の凛とした表情がすばらしくて彼がどんな成長をとげたのだろうと思わせるような表紙だった。
17話の春太郎とさくらの花園で寝そべって語らっている扉絵は、何かを予感させるような絵で、カラーがうかびあがってくるようだ。この絵をみただけで涙が出てしまう。
春太郎と家族にこれから何かがおこるであろう象徴的な絵ではなかったか。
姉のさくらは 2巻の最後でなんだかおかしいなと思うほど異様な感情の昂ぶりを見せたが、その奥に実は知らなかった事実があった・・・それを予感させるような構図だった。


一応、舞台は高校生の話。
でもなんだか、会社勤めしている今の私だってあまり春太郎たちと変わらない。

会社だって高校生活とおんなじように集団生活である。
大人びた人もいれば、明るく正直で曲がったことが大嫌いな人もいる。アキバ系オタクとまでいかずとも、スカパー仕込のオタクくらいはいる。料理が大好きな女性社員もいる。読書や漫画が大好きな子もいる。
遅刻魔もいるし、そういや机の上がいっつも汚い子もいるな。(私です)
不倫なんて、社会人には珍しくはない。
朝早くきてみたら、A上司のひざの上に部下のB女性がのっかっていたなんていうまことしやかな噂がしょっちゅうとびかっているし、街中の誰かと誰かの目撃情報なんてもう何度聞いたことか。当たり前の世界だ。
鬱病で会社を休んでいる人もいる。付き合いわるくて飲み会にいつも来ない人もいる。結婚を夢見るがうまくいかなくて自己啓発にはげむこんなはずじゃなかったOLもいる。
海外で活躍したいからと留学資金集めのために派遣で働きに来ている人もいたりする。

高校のように文化祭はなくとも、プロジェクトがある。
これは高校生と違って楽しいことばかりでもなく、ミッション・インポッシブルなことだって結構あるのだが、モチベーションをあげるために上司が「お祭り気分でがんばっていこう」などと励ましたりしている。
うちの会社もつい先日、プロジェクトⅩが走りだしたばかりだ。
それからこんな人もいた。過労で急逝した上司も。

フラワー・オブ・ライフを読んで、ただ高校生のときを懐かしむだけでなく、社会人の自分として読んでいて、不思議にリアルにビビッドに胸をうつのは、今の生活が漫画の中のフラワー・オブ・ライフにシンクロしてしまうからではないだろうか。

漫画作品を編集に持ち込んだり、三国将太と漫画を通じて友情を知ったりして、春太郎は少しずつ成長する。しかし、ある事実を知ってしまう。漫画家になること、お金持ちになって姉のさくらを養うこと、三国と漫画を描いていくことなど、さまざまことをを思い描いていた春太郎であったが、それがかなわぬかもしれないと知り、「普通でいたい」と叫ぶ。春太郎のそれはあくまで日常の生活に限ってのことだ。休学して、1年下の学年に転入してきた春太郎は自分が過ごす日常の中では少しでもみんなと同じでありたい、友達と同じように変わることなく生活していたいと思っている。「普通でいたい」と叫ぶが、それは漫画家になる夢をあきらめてでも普通でいたいということではないのだ。「普通に普通の人間でいたくないと思いたい」みんなと同じように生きて生活をしたいというだけなのだ。

真島は自分の理屈でどうにもならない恋愛があったことを知る。春太郎の叫びを聞きながら、整理はつかなくとも、何かを悟る。

ラストシーン、クラス替えの日、

「ハル君 ちょっと大人っぽくなったよ」
と無邪気に言う翔太に
「そうか?」とほほえみながらたずねる春太郎。

ここで、春太郎を変身させたのが巧いところで、私はまた涙が出てしまうのだ。
春太郎はこれまで正直で素直ではあったけれど、まだまだ子供でまわりを見ることが下手だった自分、そして何も知らなかった自分に決別する。

「そのことを伝えるとき、翔太の気持ちになって考えてみるよ」と彼は心の中で考えている。

この春太郎にまさに作中何度もギャグまじりにでてきた
「侠気」を感じるし、春太郎の成長というよりも、むしろ「美学」のようにも読める。
でも彼はまだ若く、その美学の選択はなんだか日本の「ふるきよき時代・・」の若者みたいだ。

この春太郎と真島を軸にすえて、思春期というフレーバー添えに1年D組のクラスメイトたちが彩り鮮やかに描かれている。


フラワー・オブ・ライフ~若い盛り~、自分は30代で、とても若い盛りとはいえないのだけれど、思春期という不器用な時代と懐かしさとという甘酸っぱさをまとって、今それぞれの時代を生きている自分たちにエールを送ってくれているようなそんな作品として読んだ。
何歳になっても人間関係というものからは逃げられなくて、いろんな人と渡り合わなくてはならなくて、十分分別がついているはずの自分なのに、いまだにあちこちぶつかったりする。

春太郎はいったいどうなるのだろうと切ないなと思う。
真島のセリフは本当にありえそうだとやっぱりここで笑ってしまう。
1年D組のみんなにはもう会えないのかと残念に思う。
そして、多少社会人になれば高校生のときと違って処世術はついているはずなのに相も変わらず不器用にぶつかっているなあと自分を省みる。

本当に読み終える瞬間まで、幾重にも思いをめぐらして、本を閉じることができる。


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~ Comment ~

まだ読んでないのですが・・・。 

 ううっ読みたい。凄く楽しみです。多分借りて読むことになると思うけど、その後1~4巻まとめ買いしそうです。
 良い感想ありがとうございます。

トミーさんぜひぜひ 

感想はひとそれぞれだと思いますが
いろんなネットレビューがUPされはじめました。それぞれ読んでる私ですけど、これはもうやはりすごい作品なのだと思います。
ぜひぜひトミーさんもお読みになってレビュー書いてくださいね。楽しみにしてます

読みました~。 

ステキな感想ですね。
読みながら『うん。うん。さすがだなぁ~』と相槌うっちゃいました(笑)

私も拙い文章ながら、感想描きました。四巻、読んでいるとよしながさんに応援されてる感じがして、丁寧に人と接していきたいって思います!

いずみさま 

いずみさまこんにちは。
4巻は本当によかった。いろいろ読む人によって印象が違うと思いますが、私の読後感はいずみさまと似てると思います。わたしもよしながさんに応援されてるなあーという印象で読みました。

4巻、そうきたか。って思いました。私オーバーじゃなくて、読むたびずっと泣いてました。風邪でもないのに涙がでてくるんです。

私はよしながさんのカラー絵も大好きなんです。カラー絵だけじいっと眺めていることもあるほどで。こないだのメロディも有功表紙に悩殺されましたです。

17話の扉絵はいやもうホントにカラーで手に入れたいです。

青春 

相沢さま

おおおおおっきい表紙ですね!!!

>何歳になっても人間関係というものからは逃げられなくて、いろんな人と渡り合わなくてはならなくて、十分分別がついているはずの自分なのに、いまだにあちこちぶつかったりする。

うんうん。そうですね。なんかじーんときちゃいました。

若い頃は、大人になったら辛いことやどうにもならないことがなくなって、楽に生きれるんだと信じていたんですが、30過ぎても全然変わらないので、びっくりしました。と同時に、なんで若いときは若さを楽しんでおかなかったんだろうと悔やまれたりして(いつも年を取って、若いということの辛さから解放されたいと思っていた)。

青春って過ぎ去ってみれば甘いんですが、ただなかにいると、辛いんですよね。よしながさんもどこかで、高校のときはむしろ辛かったので、こういう作品を書いたっておっしゃってなかったでしたっけ?(うろおぼえ)。

TBよろしくお願いしまーす。

kifuさまへ 

よしながさんも高校のときはみんなとなんか違うなあという感覚をお持ちだったみたいですね。マイノリティのちょっとした不便さとか居心地の悪さみたいなのを描きたいとおっしゃっていたような。私は高校のときはマンガを読まずにブラスバンドでひたすらに音楽をやってましたののでクラスメートにはなじめませんでしたが、みんなそれなりによくしてくれました。まあ多少居心地悪いこともありましたが、部活、部活、部活の趣味の毎日でしたので高校生活の仲間付き合いはあまり気にしてなくて、部活でやる今度の曲でいいソロパートがほしいとかそんなことばっかり考えてるエゴ丸出しのお気楽人間でした。
人付き合いというなら社会人の今のほうがやはり気を使いますね。職場での同僚、上司、部下とのつきあい。新しい友達、疎遠になっていく友達・・・などなどです。今のほうがしんどいことも多いので、フラワー・オブ・ライフの設定がまるっきりイコールでなくてもなんかこう、自分にシンクロしてしまって、涙が出るんです。

難しい・・・ 

相沢さま

相沢さまはブラスバンドですか? わたしは友だちは、ブラバンの子が、多かったです。何を吹いていらっしゃったんでしょう?

ええーっと。そうですね。学生時代はわたしも、今思うとみんなゴメンと思うくらい、マイペースだったと思うんですが、働き出してからは、本当に、いろいろありますよね。でも働いていないひとにはわかってもらえないし、働いていたって、立場が違ったらわからないし、人間関係はとくに難しいです。

また、女子のあいだには、複雑な立場で、友情がもろくなっちゃうことがあるのが、淋しい。わたいは、独身のときに、先に結婚しているひとに、やや見下される(?)ような、自由が羨ましいわぁという羨望がまじっているような、そういう態度で接せられて、密かに傷ついてしまうことがあって、絶対に自分が結婚したときには、結婚がいいとか、子どもはいいとかいうひとにだけはなりたくないなぁと思ったのものです。いつまでたっても人間関係には上手くなれないです。本当。

クラリネットですね。 

ブラバンにおけるヴァイオリンの役目をなすクラリネットでした。当時は音楽漬けでまたクラリネットって消耗品のリードとやらを使うのでとにかく金がかかるので漫画を読む暇も買うお金もなかったです。有吉京子さんのSWANと大和和紀さんとか成田美名子さんとか吉田秋生さんくらいしか読んでなかったんじゃないかな。高校卒業して書店でバイトしてそこから漫画人生がはじまるんですけどね~書店でバイトすると本をかいまくりますよね。

音楽やってましたから二ノ宮知子さんの「のだめカンタービレ」やさそうあきらさんの「マエストロ」や入江亜季さんの「群青学舎 2巻の中の「彼の音楽」」も泣きそうに好きです。

私、高校時代は鈍感だったのか、あんまり悩まなかったですけど、今思い返して穴があったら入りたいエピソードがたくさんあります。

結婚と出産はデリケートですよね。私も気をつけています。あと、専業主婦の友達に「仕事仕事」と言わないようにはしています。職場にいるとハラスメントコードががっちりあるので表向きはいいですが、一般の社会や親戚づきあいにはそんなコードはありませんから、ときどきめんどくさいです。まあ悩まないようにはしてます。できるだけひょうひょうとしていたいです。
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